『昭和元禄落語心中』②
前回今すぐ死にそうなことを書いてしまいましたがまだ生きてます。
前のやつを読み返してみると自分の鬱状態がどんなもんだか客観的に確認できる貴重な記録になっててしみじみします。せっかくだから残しておこう。
しかし、人前で話すのが辛いというのは私だけじゃないんですね!!
夏休み中下の本を読んで、最前線で働く世界の女性が同じことを言っているのを知り泣いておりました。
女がはまりがちな思考パターン、たとえば「完璧にできてないと駄目だと思う」「批判を怖れる」「失敗すると自分を(人格的に)責める」「考えすぎる、心配する、過ぎたことにとらわれる」 といったものが、出世する(×仕事をする)上で大きな障害となっているという話。
いろいろ面白かったので、これについてもいずれ感想を書きたい。
ただこの本の結論は「自信はやっぱり努力が生むのよ!」であり、BBCのホワイトハウス担当記者を務める著者にそういうことを言われると、大抵の女性は上の思考パターンにしたがって「私がダメなのはこの人より才能もない上に努力が足りないからだ」とただ確信するだけでしょう。
著者の溢れる善意とは裏腹に、そういう罪深い面もある本です。
それで標題の『昭和元禄落語心中』の件ですが、
当然ながら放置している間に何を書きたかったのかサッパリ忘れてしまいました。ああその間に8巻出てる。とりあえず読んで来た。
ちなみに夏休み中、この人の下のマンガも読んでみたのですが、
ガチの腐女子もの書く人だったんですね(20世紀の人間だからわかんないんですが、おっさんしかでてこなくてもBLっていうのだろうか)。
上のマンガ、主要キャラのタイプが八雲師匠といい与太と重なります。師匠も与太も、長い時間かけて作られたキャラだったんだな。これは作品の安定感に寄与してそう。
その分、2人のキャラ造形はちょっと男性には理解しがたいかもしれない。
それでも、ぶれない端正な物語運びで、とても心地よく読ませてもらえます。
また何たってセリフが良い。八雲師匠の東京弁のカッコいいこと。ともかく隙のないかっこよさです。作者の愛が感じられる。
この作品の主になっているのは「うつりゆく時代の中の芸と人」という骨太なテーマ性であり、個々のキャラクターはそれにガッチリと統制されています。
いわゆる「キャラ立ち」しているキャラというのはいないので、ともすれば淡白な、印象の薄い話になりかねないところ。しかし流れるセリフの快感(落語場面も含めて)がそれを補って余りある。その心地よさだけで、どんどん読んでいくことが出来る。
物語を言葉で表現するということもありますが、言葉自体が物語の推進力になるという、昔よく戯曲を読んでいた時の感じを思いだしました。